ナイロビ近景その⑥

英語にしろ日本語にしろ最近出版されている世界旅行案内関連の雑誌はナイロビの治安の悪さを必要以上に誇張しているものが多くなっている。これじゃ~読んだ人は恐がってケニアに来なくなるんじゃないかと日本で発行しているある旅行者向けの本の編集者にもう少し柔らかく書いて欲しいと言ったことがある。ところがその編集者が言うには例えばナイロビは高原性気候で爽やかな風が吹き、ブーゲンビリアやハイビスカスなど色とりどりの花が咲き、街からも近いナイロビ国立公園ではシマウマ、キリンなどの野生動物が沢山見られ人々も大変親切で楽しい所、と書くのは本当のことだからそれはそれでいいが、それと同時に町を歩く場合は片言の日本語で声を掛けてくる人には気をつけよう、置き引き・引ったくりに油断しないようになどともと書かないとならない。そういったトラブルが起きるかもしれないという注意書を書いていないともし事が起きた場合、その編集者又は発行元は不適切・不親切・怠慢という理由で訴えられるということだった。海外旅行をしようとするなら自分のことは自分で責任を取るというのは常識以前の問題で同じ旅行者仲間又は現地の人々に迷惑をかけないようにするのが当たり前だった。だが最近は自分の身に都合の悪いことが起きる又は損をする立場に陥るとやたらと他人のせいにしたり自分は被害者だと喚きまわったりする。そういう心配性の人は一人旅ではなくパッケージツアーに参加すると安心できるのでそちらをお勧めする。

大分前になるが世界の放浪人の間ではリオ、バンコック、ナイロビに足を踏み入れなければ世界を旅したとは言えないとまでいわれた時期があった。リオは情熱的、バンコックは情緒豊か、ナイロビは情熱と情緒を合わせ持った街でその不思議な魅力が旅人の間で噂となっていた。下町の安いホテルが集まった一角はナップザックを背負った旅行者で一杯になり市内のさる有名なコーヒーショップでは朝からお互いに情報交換をする旅人で賑わっていた。しかし1998年、アルカイーダによるアメリカ大使館爆破事件以来旅行者は激減し、下町のホテル街は全く様子が変わってしまった。以前は市内中心部にあるシティーマーケット前の通りには土産物屋が軒を並べ世界各国からの旅行者も多く集まりツーリストアベニューなどと呼ばれた時期もあったが今はネクタイを締めた若者が多く見られる。

バックパッカーなら誰でも一度は利用したことのあるナイロビの下町にあったイクバル(IQBAL)という有名なホテルはレストランになり、店内の電球を全て緑色にし夜8時過ぎると座るどころか立っていてもボーイが通る隙間もなくなるほど人で一杯になるグリーンバーもレストランに様変わりしてしまった。今なお旅行者用ホテルとして健在なのはリバーロードのニューケニアロッジだけになってしまっている。