レストラン

椰子の木陰で

ナイロビ市郊外のウエストランド地区に「大波」という新しい日本食レストランがオープンした。

初めてその店に入った時、正直なところ…“エッ、ナニ、これが日本料理店?!”…。

オーナーはイスラエル人、マネージャーもイスラエル人。いかにも今風アメリカ的雰囲気で馴染んで来るとロスにいるんじゃないかと思ってしまう。黒を基調とした色彩だがバランス感覚もよく清潔感がある。プロのデザイナーの粋を感じる。

日本食というのはカツ丼、ザルソバ、オデン、しゃぶしゃぶなど多種多様に亘るが何と言っても寿司、刺身が日本のオリジナルであろう。食堂風とか飯屋風とかもあるが刺身のような生物をお客様に食べて頂く日本料理店というのは清潔でそして明るくなければいけない。通に言わせると日本食は“箸をつける前に目で食べる”という。まず部屋に通されてその落ち着きに心が安らんで、運んでくる器に品格を感じ、何気ない皿に盛られたその1品に潜むたおやかな心を感じ、そして後おもむろに箸で持ち上げ、

心の中で“これから頂くよ!”“ハイ、貴方なら喜んで…!”

別に色っぽい話しをする訳じゃないが本物の板さん(コックではない)が真心と根性を込めて作ってくれた1品にこのような思いを抱くのは私1人ではないと思う。

というようにまず目で満足し、口に入れて納得し、腹に入れて安心する、これが本当の日本料理だと思う。

ローアカベテにある「禅」というレストランも広いインド人好みの庭を前にして家族連れが多い。

一度様子をみにいったがマネージャーやらウエイターやらが入り口でペチャクチャやっていて見苦しく教育がなっていないのでそれ以来行っていない…

「大波」はナイロビでは11店目になる。日本人として日本食店が増えるのは嬉しい気はするがしかしどこの店をのぞいても“日本の味を味わって頂きます”という控えめに輝く個性というのがなくその店のオーナーの国民性と浅はかな日本の味らしいのを出しているところが多い。

日本食に飽きた場合にお勧めできるのは中華料理かイタリアになる。料理、いわゆる食べ物に関しては個人の好みがあるので一概にここがイイということは出来ないが今まで食べたイタリアレストランの中でずば抜けているのはマラウイ国リロングエ市内の店で出すカネロニである。

次がルワンダ国キガリ市内の丘の上にある店でここのフィッシカーバッチョ、それとトマトとバジリコを乗せたスパッゲティーは絶品である。ことにここは高台にあるので遠く広がる樹海を見ながら飲むよく冷えたアンテノーリの味わいは又格別のものがある。

皆様がもし出張などで行かれるチャンスがあったらお試し下さい、必ずや満足頂けるハズです!

残念ながらナイロビでこれだけのものを出す店にはお目にかかったことがない。

 

私は子供の頃にヒモジイ生活を送ったせいか食べ物に執着があるような気がする。悪く言えばガツガツしてる、良く言えば健啖家(この言葉もイイ誉め言葉とは思えないが…)。その上一時期マサイの部落で寝起きし、彼らの生活を目の当たりにしていた時、マサイの戦士は普段はそれ程多くは食べないがイザという時に食べる量は我々が凄いナ~と感心するのとは桁が違い5人から6人前を平気でペロッと平らげてしまう。それに比べたら僕の食べる量なんてのはタカが知れているが食べられる時に食べておくのがいいというマサイの習慣が身についているのかも知れない。

自分の好みから言うと同じ食べるにしても矢張り魚、それも潮の香りのするのがイイ。

ナイロビから南へ500km行くとモンバサという海岸都市がある。ケニアでは2番目に大きい町で白い砂浜の続く海岸沿いにはリゾートホテルがズラ~ッと建ち並んでいる。その中でも私のお気に入りはTIWI BEACHのサンドアイランドビーチコテージと呼ばれるセルフサービスのコテージである。高いホテルで決まりきった時間に決まりきった食事をするよりも自分で好きなものを好きな時に好きに料理して食べられるのが自由で良い。それにセルフサービスのコテージは安い!ここのビーチは岸から300m程行くとリーフがあり、引き潮になると殆ど水がなくなるので歩いて行ける。リーフから飛びこむと深さは5m位あって赤や青の熱帯の魚が泳いでいる。自分も魚になったつもりで近ずいて行くと殆ど逃げていってしまう。当たり前だがしかし海洋公園に指定された海ではよくパンを持って入ると魚が寄ってきて手から食べて行ったりする。観光客慣れしていない初心な魚達は全く自然のままなので嬉しくなる。自分だけの海のパラダイスとして誰にも言わず大事に取っておきたい。

このティウイビーチにも数軒のコテージがあるが私がこのサンドアイランドビーチコテージを好む理由は引き潮になるとこのコテージの目の前、岸からすぐの所に砂山が現われる…。

この砂山は縦横100mくらいのものだが周りには誰も居ず、寝そべっていると潮風が身体の上を通り過ぎていき、心が破滅的な悦楽の世界に引き込まれていってしまう。

満潮に近くなると手漕ぎのカヌーを操って漁師が沖から戻って来、獲ってきたばかりのカゴに入った魚を間に早速値切り交渉をする。体長30cmのシマ鯵を50円ダ、イヤ60円ダ…とやるのである。

このようにして手に入れた新鮮な魚は台所へ持って入ってはイケナイ。コテージの前の椰子の木の下で石を並べた上に網を乗せ、ココナツの殻を燃料にし、塩をタップリと振り掛け、ライムを搾り、砂浜に座り、午後のひと時を自分だけの贅沢に浸るのである。

食べ歩き情報その②

日本では米が主食で毎日食べても飽きない、と言うか生まれた時から何の疑いも持たずに食べているのでそれが当たり前だと思っている。中には特に若い世代の人達は米よりもパンを主食としている人が多い昨今、米を食べると太るとか、米を食べる姿が田舎っぽいとか、米と言うそのものの響きがダサイと感じる人もいるとか聞く。しかし私にとって日本米のあの艶々した光は思わず生唾を飲み込まずにはいられない誘惑の光を持っている。

私がケニヤに来て32年、既に人生の半分以上をこのアフリカの大地で生きてきたことになるが、食べ物に関してはそれ程不自由を感じたことはない。ケニアでも米を作っており又インド、パキスタンなどからも輸入している。日本米に似たカリフォルニア米も流通しているがしかし矢張り日本米のあの甘い輝きに勝るものはない。

東アフリカ又は南アフリカ周辺国での主食はトウモロコシである。米を炊くとご飯と呼び名が変わるようにトウモロコシはウガリという呼び名になる。国によってはシマとも言う。ケニヤで食べるウガリは団子ほどの固さになるがマラウイでは(シマという)つき立ての柔らかい餅のようになっている。ケニヤのウガリに慣れた目(口)から見ると“何と頼りない!”ように見えるがこれが何と2~3回も食べると味に親しみが持てるようになり、ウガリにあるツブツブの感じがなく食事の時間が待ち遠しくなる。

ケニヤの西に大きさでは世界3番目のビクトリア湖がある。広さは九州全土の約2倍。その湖の東岸にキスムというケニヤではナイロビ、モンバサに継ぐ大都市がある。このキスムから約50km離れた、これも湖岸に沿ってひっそりとたたずむ漁師村がある。この村の周辺には日本の2階建て家以上の大きさの岩がゴロゴロしておりアチラコチラに数個の岩がバランスを取りながら重なっているのが見える。言い伝えによるとその昔は巨人の積み石の遊び場だったと言われている。それぞれの村人の住む家はこれらの岩にしっかりとガードされるように建っていて、この岩の上からビクトリア湖を望むとその広さに圧倒される。浜辺で漁師が網を広げて干しているのもよく見える。

この岩の上に手頃なヘコミがあって7~8才の女の子がこのヘコミの中に白いトーモロコシを入れそれを丸くなった石でゴロゴロ転がして挽いて粉にしている。膝をついてやっているので思わず自分の膝を抱えてしまう。ケニヤの一般家庭では男の子も女の子も小さい時から家の仕事を手伝うようにしつけられている。そう言えば自分の子供時代も学校から帰ると鶏、ウサギの世話からマキ割りや手漕ぎポンプの水道で風呂に水を入れたりしていたナ~と思い出す。

さてその挽いた粉を丁寧に集めて鍋に入れ、家の中で待っているお母さんに渡す。お母さんは

それを熱湯に入れてかき回し粘土状になったら蓋をするか鍋そのものを逆さにして5分程蒸らす。このかき回すのが力の要る仕事で先端がへら状になった棒で10分から15分休まずにかき回さなければならない。だからアフリカの女性は腕、肩の筋肉が盛り上がりそこら辺の男なぞより腕力がある。

このウガリを油で揚げたてのナイルパーチ(日本でいうスズキ)と一緒に食べるとウガリの旨味と魚の甘みが溶け合って得も言われぬ味になりついつい食べ過ぎてしまう。

ナイロビ食べ歩き情報①

(10月2013年からのブログなので情報が現在変わってる場合があります。)

ナイロビには日本食以外にもインド、中華、イタリア、フランスなど古くからあるレストランもあるし最近新しくオープンしたレストランもある。約1年程前、ウエストランド地区にブラジル系のレストランがオープンしまあまあいける。先日日本から来た新婚のカップルが地球の歩き方を開いてこの店に行きたいというので見たらナイロビ市内にあるイタリアンレストランだった。思わずそこはやめなさいと言いかけたが何とか思いとどまった。何しろこのカップルは行ってみたい公園やレストランに付箋を引いていてそういったところへ行くのも二人の観光の目的でもあり楽しみでもあるので頭っからそこがダメとは言えないではないか…。マ、良い思いでになればヨシと陽が暮れてから3人でそこへ行った。ナイロビはイギリスの影響を受けているので例外を除きホテルやレストランのディナータイムは夜7:30からとなっている。3人共スパッゲティーを注文したが案の定皿一杯のタップリした油の中にスパゲッティ-が浮いていた。

ナイロビ郊外、と言ってもムサイガ、ウエストランド、ミリマニ、カレンなどの地区にもイタリアンレストランが数軒ありそれぞれがイタリア直輸入の材料を使っているので中々の満足度である。そしてそれらのレストランではその店自慢のハウスワインを置いてある。特別気に入ったワインがあるならまだしも私の場合はまずハウスワインをオーダーする。店によってはブレンドしたものを置いてあるが下手にワインリストで選ぶよりまず間違いはない。普通は初めに赤ワインをグラスで頼むのだがカレンの店に行った時は、どういった訳か無称に白が飲みたくなったのでグラスで白を頼んだ。「オッ,久しぶりにイイタッチだ!」というわけでその後1リッター瓶をオーダーし結局1人で飲み干してしまった。飲んだ後も非常に爽快で二日酔いらしいこともなく翌日の目覚めも爽やかだった。

私はスピナッチとリコッタチーズの入ったカネロニが好きでどこへ行ってもそれがあるかどうか聞いてみるが殆どメニューに載っていない。時折ムサイガやウエストランドでシェフの機嫌が良い時にスペシャルで作ってくれるときもあるがいつでも食べられないのがちょっとサミシイ。

ここ数年混雑するナイロビ市内から逃れウエストランド地区に移ってきている会社が多く又レストランなども国際色豊かなレストランも増えている。ジェネラルマセンゲドライブの「Le Rustique」というドイツ人がオーナーのヨーロピアンレストラン アンド カフェといった雰囲気の店で出すクレープ類はナイロビでトップクラスと言えるだろうし、林に囲まれてちょっとワケありカップルが静かに時を過ごす…といった雰囲気の「About Thyme」で出すイカリングもナイロビでは指折りである。この二つのレストランは奥さんがキッチンに入って采配を振っており旦那は店の中をウロウロしている。中華でお勧めのパンダやチャイナジャンスーも女性がオーナーである。これら中華もその場で頼むよりシェフお任せで少なくても1日前に予算と人数を知らせておくと普段は食べられないメニューにない料理を出してくれる。4人以上の場合、こういったやり方でオーダーすると店の方でも一生懸命考えてくれるしオヤッと思う料理も時折出てくるのでこちらも楽しくなる。ぜひお試し頂きたい・・・