ナイロビ近景その②

ケニアの4月は1年の内で大雨季のシーズンと呼ばれ一番雨量の多い季節。だがここ数年雨季と乾季の変わり目が変化していて今年の4月は雨が少なく5,6月も雨は降ったが雨量は例年に比べ少なかった。ナイロビはその昔港町モンバサからホワイトハイランドのキタレを通りウガンダのカンパラまで物資輸送途中の宿場町として栄えた。サバンナの中に造られた町だがナイロビ=清い水の湧き出る所(マサイ語)といわれた程でその上1年を通して空気が爽やか、雨が降ってもいやらしくまとわりつく湿気もなく自然、人が集まり都市としての機能を備えていった。市の西方面は高台になっており市内を出る時は晴れていたのに15分も走ると雨が降っていることがある。僕が住んでいるのは市から西北にしばらく行った奥にあり森や林に囲まれ、ヘビやカエルは勿論カメレオンもおり鳥類図鑑に載ってはいてもめったに見られない大型の銀顔サイチョウなどが庭の樹の上に止まっていたりする。7月に入ってからも夕方から雨が降ることがあり何となくハッキリしない天気が続いている。

雨が降ると停電になることが多いが大体は5分程で電気が戻る。日によって朝9時から夕方7時まで停電になることがある。夕方停電する時はワザとじゃないかと思う程7時になるとパッと消える。もしも15分過ぎても電気が戻らなかったらケニア電力会社に電話をする。

「こちらはニュームサイガ区ティギリ道路17番だが電気が止まったけど何か問題が?」

「17番…っていうと、待て、今コンピューターをみているが…MR.ENDOの家か?」

「そうだ、電気代は既に払ってある筈だが…」

「支払いの問題ではない、あなたの住んでいる区域全体の電気がストップした」

「何故なんだ何の問題があるのか?」

「今すぐその近くにエンジニアーを送るから心配するな」

「心配するなと言われてもこっちは暗くて大変なんだ何時に人を送ってくれるんだ?」

「今すぐ送るから大丈夫だ、Be Patient!」

何がビー ペーシェントだよこっちはこれから夕食だってのに…これから人を送るって言

うことは又どこかのトランスがショートしたんだな、それじゃ~当分は電気は戻ってこないだろうとジェネレーターを回すことにする。我が家のバックアップジェネレーターは小型の3.75kwでヒーターさえオフにすれば家の内外の殆どをカバーできる。

停電1時間後又電話をする。さっきは男性だったが今度は女性が出た。

「先ほど電話した17番のエンドウだがまだ電気が戻ってないけど…」

「オーケーこれからテクニッシャンを送るから大丈夫」

「エッ、さっき1時間前に電話した時にエンジニアーを送るって聞いたが…」

「停電はあなたの所だけじゃない、皆忙しいからもう少し待て」

「もう少し待てって、あと何時間暗い中にいなきゃならないんだ!ローソクもトーチも持ってないから何も出来ない!」…とアフリカ式交渉会話術を使う。

「私はこれからテクニッシャンを送ると言っているんだ、だから待て!」

「あなたの名前を教えてくれ、あと30分して誰もこなかったら又電話する」

「私の名前はローズ、ドント ウオーリー!停電はあなたの家だけじゃなくあなたが住んでいる区域全域なんだから心配するな!」

「何が心配すんなだよ、自分の家だけであろうがなかろうがそんなことじゃない、早く原因を調べて電気を戻してくれ!」

例によって会話をすればするほどズレが広がりアホらしくなってくるので受話器を置く。

そして大概は2~3時間で電気が戻る。電気が戻ればもう嬉しいので電話はしない。たとえ電話をしたとしても原因を教えてくれることはない。

以前原因を知りたくて電話した時は・・・

「こちらは17番のエンドーだけどさっきの停電の原因は何だったのか…?」

「ワイヤーの問題だったらしいがまだ報告が上がって来ないから何も言えない、電気が戻ってミスターエンドー アーユーハッピー?」

「イエス、 サンキュー フォー ユア アシスタンス!」

と何かスッキリしないまま心にもないことを言って電話を切った。

 

約1年程前、ナイロビ市内に喫煙所が設けられた。近くを通ると開いた窓からモクモクと煙が出ていることがある。ちょっと前までは誰も彼もタバコを吸っていてたが健康に悪いというので止めた人が多い。歩きながら吸っていて隣の人の手に火がくっついて喧嘩になったり、まだ火の点いている吸殻をそのままポイ捨てして火事の原因にもなるし何しろ歩く道が汚くなる。喫煙所から出てくる人はさぞや満足して出てくるのかなと思いきや以外と下を向いてスーッと行ってしまう人が多い。こういった人は止めようと思いながら中々止められない人なんだろうなと何となく憐れさを感じてしまう。以前は僕も吸っていたので吸う人の気持ちはよく判るが…。