サファリその⑧: サバンナの戦士マサイ

ケニアの首都ナイロビから約250キロ西方にマサイマラ国立保護区がある。広さは奥多摩を含めた全東京都とほぼ同じ面積。しかしここには視界を遮る家もビルも高速道路も電線もなく遥か遠くまで緑のサバンナが広がる。

その緑のサバンナを赤いシュカ(布)をまとったマサイの戦士が歩いて行く。とにかく早い、あっと言う間にみえなくなる。あの長い足で彼らにすれば普通に歩いているのだろうけど附いて行くだけで息切れがする。僕も赤い布を巻いて歩いてみたが全く様にならない。

マサイの女性が水汲みに行く時や子供が牛を追う時、10キロ以上は常に移動するが戦士にしろ女性にしろ子供にしろライオンに襲われるということは先ずない。長年のマサイの友人に聞くともしサバンナでライオンに出会ったらそれなりの対処の仕方があるという。どんなことだと聞いてもニヤニヤして教えてくれない。何だマサイだけの秘密か…!

マサイにとって赤い色は刺激的で興奮を誘う。赤は自分の色だと主張する。昔は戦いに行く前に頭や顔を赤い色で化粧し己を誇示していた。我々の世界でいう成人式に当たるのが戦士になる為の割礼の儀式とライオン狩り。10人程が一グループとなりオスライオンと戦う。現在ではケニア政府から禁じられているがそれでもひそかにマサイの伝統にのっとって狩りにでるという。

男の子が5才になると牛の追い方を教わり、7~8才になると一人で100頭以上の牛の群れを引いて草を食べさせたり水場に連れて行ったりする。100頭の牛の群れとなると先頭から後尾まで200m以上になる。それを一人でコントロールするというのは神業に近い。時折群れから外れたり遅れたりする牛がいると鋭い口笛を吹く、そうすると離れた牛がちゃんと元に戻るから面白い。まるで自分の念を牛の感覚に直接送り込むような感じでコントロールする風景に違和感もないし彼ら自身が焦るというのを見たことがない。