食べ歩き情報その②

日本では米が主食で毎日食べても飽きない、と言うか生まれた時から何の疑いも持たずに食べているのでそれが当たり前だと思っている。中には特に若い世代の人達は米よりもパンを主食としている人が多い昨今、米を食べると太るとか、米を食べる姿が田舎っぽいとか、米と言うそのものの響きがダサイと感じる人もいるとか聞く。しかし私にとって日本米のあの艶々した光は思わず生唾を飲み込まずにはいられない誘惑の光を持っている。

私がケニヤに来て32年、既に人生の半分以上をこのアフリカの大地で生きてきたことになるが、食べ物に関してはそれ程不自由を感じたことはない。ケニアでも米を作っており又インド、パキスタンなどからも輸入している。日本米に似たカリフォルニア米も流通しているがしかし矢張り日本米のあの甘い輝きに勝るものはない。

東アフリカ又は南アフリカ周辺国での主食はトウモロコシである。米を炊くとご飯と呼び名が変わるようにトウモロコシはウガリという呼び名になる。国によってはシマとも言う。ケニヤで食べるウガリは団子ほどの固さになるがマラウイでは(シマという)つき立ての柔らかい餅のようになっている。ケニヤのウガリに慣れた目(口)から見ると“何と頼りない!”ように見えるがこれが何と2~3回も食べると味に親しみが持てるようになり、ウガリにあるツブツブの感じがなく食事の時間が待ち遠しくなる。

ケニヤの西に大きさでは世界3番目のビクトリア湖がある。広さは九州全土の約2倍。その湖の東岸にキスムというケニヤではナイロビ、モンバサに継ぐ大都市がある。このキスムから約50km離れた、これも湖岸に沿ってひっそりとたたずむ漁師村がある。この村の周辺には日本の2階建て家以上の大きさの岩がゴロゴロしておりアチラコチラに数個の岩がバランスを取りながら重なっているのが見える。言い伝えによるとその昔は巨人の積み石の遊び場だったと言われている。それぞれの村人の住む家はこれらの岩にしっかりとガードされるように建っていて、この岩の上からビクトリア湖を望むとその広さに圧倒される。浜辺で漁師が網を広げて干しているのもよく見える。

この岩の上に手頃なヘコミがあって7~8才の女の子がこのヘコミの中に白いトーモロコシを入れそれを丸くなった石でゴロゴロ転がして挽いて粉にしている。膝をついてやっているので思わず自分の膝を抱えてしまう。ケニヤの一般家庭では男の子も女の子も小さい時から家の仕事を手伝うようにしつけられている。そう言えば自分の子供時代も学校から帰ると鶏、ウサギの世話からマキ割りや手漕ぎポンプの水道で風呂に水を入れたりしていたナ~と思い出す。

さてその挽いた粉を丁寧に集めて鍋に入れ、家の中で待っているお母さんに渡す。お母さんは

それを熱湯に入れてかき回し粘土状になったら蓋をするか鍋そのものを逆さにして5分程蒸らす。このかき回すのが力の要る仕事で先端がへら状になった棒で10分から15分休まずにかき回さなければならない。だからアフリカの女性は腕、肩の筋肉が盛り上がりそこら辺の男なぞより腕力がある。

このウガリを油で揚げたてのナイルパーチ(日本でいうスズキ)と一緒に食べるとウガリの旨味と魚の甘みが溶け合って得も言われぬ味になりついつい食べ過ぎてしまう。